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世界の中心はここだ

WaTファンでありジャニヲタでもある地方学生が多方面に愛を叫ぶ記録

ファンって何なんだろう

ずっと見たかった景色だったんですよ。
今日、やっと、それが見れる日だったんですよ。

ライブ終盤、少し不自然な間をあけて、「みなさんに大事なお知らせがあります」って。瑛ちゃんが言った。「大切なお知らせ」だったかも。よく覚えていない。
「来年2月に新曲を収録してリリースします」って。会場みんな喜んで拍手した。
そして、緊張してこわばった2人の表情が、その予感を告げていた。

「そのリリースをもって、WaTは解散します」

泣き崩れるファンを目のまえに見た。
解散します、って言ったあと、瑛ちゃんが泣いた。瑛ちゃんが、泣いて喋れなくなって、ああこれは現実か、ってぼんやり思った。
徹平ちゃんが、「10周年を迎えてこんな悲しいお知らせで申し訳ないです」って言った。
WaTとして活動しなかったこの5年間も、ソロで音楽活動を続けて、いつか、いつか、また2人でできるように、ってそう思ってやってきました、って徹平ちゃんが言った。でもここ数年、俳優としてがんばってきて、自分のやりたい道が見えて、もう音楽との二足のわらじはできないと思いました、みたいなことを徹平ちゃんが言った。
瑛ちゃんは、瑛ちゃんは、何て言ったっけな。
何か大きなきっかけや話し合いがあったわけじゃなくて、解散だろう、ってお互いに考えていることがわかった、って。皮肉なことに、最後まで徹平と考えは同じだった、って。「正直言って、ずっと甘えていました」って言った。いつからか、WaTが、帰る場所じゃなくて、甘える場所になってた、って。1足す1が2よりももっと大きくなるようにと思ってユニット活動を続けてきたけど、1足す1を2以上にするより、個人が、1のままじゃだめだと思いました、って言った。
前向きです、って何度も言った。泣き崩れるファンをなるべく見ないようにして、目を真っ赤にして、それでも2人の声は震えていなかった。
本当はもっと早く出すはずだった新曲のリリースを2月に伸ばしたのは、こういう決断があったからです、って瑛ちゃんが言った。
僕たちから最後の新曲です、きいてください、って。
その一曲が、その新曲が、ウエンツ瑛士小池徹平がWaTとして立つステージが、世界で一番美しかった。
世界で一番美しいライブを見た。

新曲は、10年間への別れの歌でした。
とても前向きで、とてもあたたかくて、でもはっきりとした別れの言葉を口にする歌でした。
ていうかマジでこの新曲がアホみたいにいい曲なんだよ。アホみたいにめっちゃくちゃいい曲なんだよ。こんなにいい曲なのに。こんなに、いい曲なのに、なんで。

歌い終わって、お辞儀して、何も言わずに2人がはけて。
みんな泣き崩れながらアンコールして。前なんて見えないけどアンコールして。WaT、WaT、ってみんなの心が叫んでて。
2人がまた出てきて、瑛ちゃんが、「着替えてもまた衣装が白だよ」ってちょっとおどけて笑ってみせた。みんな、やっぱりうまく笑えなくて。「笑いの量が減ったね」って瑛ちゃんが笑った。徹平ちゃんもちょっと泣きたいように笑って、「そりゃそうや」って言った。
そりゃそうや、って。
ファンの顔は2人にどんなふうにうつっていたんだろう。
そして、少しだけ震えた声で、瑛ちゃんが、「アンコールありがとうございました。…正直、ちょっと、アンコールしてくれないかと思いました」って言った。馬鹿みたいに緊張した顔だった。泣きそうな顔だった。泣きたいのはこっちなのに。
「ごめんね。おれが喋らなきゃいけないところで泣いちゃって、徹平に喋らせて」って瑛ちゃんが言った。
徹平ちゃんが「ほんとだよ。だからおれが泣くわけにいかなかった」って、なんかそんなニュアンスのことを泣きたい顔で笑いながら言った。
アンコールは10年分を詰め込んだメドレーだった。
歌い終わって、最後に、いつものように手を繋ぐんだってわかったけど、ものすごく時間があいて。
ゆっくり瑛ちゃんが徹平の手を握って、ゆっくり徹平が瑛ちゃんの手を握って。
その瞬間ほんとにみんな泣き崩れてさ。わたしの隣で、やっとの思いで立ってた人が、そのとき我慢できずに顔を覆ってた。
いつものように、いつもよりずっと丁寧に、いつものように、いつもより深く頭を下げて、「ありがとうございました」って響いた2人の地声は、10年分の感謝の言葉だった。
10年間、ありがとうございました。さようなら。
別れの5文字も聞こえる、最後のファンへの声だった。

必ず幸せにします、って言ったんですよ。瑛ちゃんが。
2人はこれからも、WaTのファンを、必ず幸せにする。必ず幸せにできるような活動をします、約束します、って。
WaTに甘えていたのはファンのほうだったんじゃないかって思いました。
瑛ちゃんはWaTが甘えの場所になってた、って言った。けど、そう言ったその顔は、全然甘えた顔じゃなかったんですよ。
「解散します」とはっきり言った。
解散を決断した彼らは、わたしたちが、わたしが思っていたより、ずっとずっと強かった。
ファンの甘えを、ぐずぐずと離れられないファンの甘えを、振り払える強さがあった。
泣いてた。
瑛ちゃんなんてもうめちゃくちゃに泣いてた。
でも、「これから必ず幸せにします」って言い切る、強さがあった。
かっこよかった。
かっこよかったんですよ。
世界で一番、美しいステージだったの。
世界で一番好きな2人、10年間、世界で一番好きだったWaTが、わたしに見せた最後のステージは世界で一番美しかった。馬鹿みたいにかっこよかった。

すべてが終わって、BGMとして新曲が流れる会場を背に、ゆっくり歩きながら、ボロ泣きした。「WaTのファンです」と言い続けた10年間のわたしの青春が終わったことを実感してアホみたいに泣いた。
一緒に入った友達が「つられるからほんとにやめて」って言った。
でも馬鹿みたいに涙が止まらなかった。
アホみたいに泣きながら、外に出て、スタッフさんからチラシを受け取って、2月にリリースされる新曲はシングルではなくベストアルバムに収録されることを知った。そして初回A盤はCD+DVD+写真集であり、2016.2.10リリースで、その翌日の2.11に東京で発売記念握手会があることを知った。それが最後のWaTだと。

ファンって何なんだろう、って思うんですよ。
どんなに好きでも、どんなに彼らに好きだって言っても、大好きだよ、WaTが大好きだよって言っても、彼らの決断を変えることはできなくて。
馬鹿みたいだ。
勝手に好きになって、勝手に深入りして、勝手に追いかけて、勝手に待って、そして置いていかれる。
わたしの青春をすべてさらって、たくさんの思い出をつれてきて、その思い出ごと、わたしを置いていく。
10年間なんて活動していなかった。
空白の期間のほうがずっと多かった。
WaTが好きだって言うと、周りはみんな、懐かしがったり、まだやってたんだねって言った。
でも、10年間、わたしは言い続けた。
WaTのファンです、って言い続けた。
「WaTが好きです」と言える未来を、ぐずぐず言い続けたかった未来を、彼らが終わりにした。
ファンって何なんだろう。
10周年の再始動は、始まりの合図じゃなかった。終わりの挨拶をしに、彼らはステージに戻ってきた。
ファンって何なんだろう。

泣きながら、「解散」の2文字と「さようなら」と「ありがとう」の5文字をはっきりと伝えてくれた、強く優しい2人の未来が、これからも美しくありますように。

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