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世界の中心はここだ

WaTファンでありジャニヲタでもある地方学生が多方面に愛を叫ぶ記録

ジャニヲタと恋愛

ジャニヲタと恋愛

 

私がジャニヲタになったのは高1の冬だ。

当時の彼氏は私のアイドル好きをあまりよく思っていなかった。最終的にジャニーズとは全く関係のないことでケンカ別れをした。

 

節操なくどの現場にも出没し始めたのは大学生になってからだ。
高校2年でケンカ別れをして以来、私は誰ともお付き合いをしてこなかった。シンプルに言うと誰ともお付き合いできなかった。好きな人もできなかった。告白もされなかった。シンプルにモテなかった。そして10代が終わった。17歳から20歳まで、JK(女子高生)がJD(女子大生)になる黄金の3年間、私の「好き」は常にテレビの中とステージの上に向けられていた。私の青春は全てアイドルに捧げたと言っても過言ではないと思う。
 
ジャニヲタは楽しい。友達から恋愛話を聞くより、オタク仲間からコンサートの感想を聞くほうが楽しかった。好きな人や彼氏のために割く時間や金があるなら、1回でも多くのコンサートに行きたいと思ってきた。
ジャニヲタで過ぎ去った10代後半を後悔は1ミリもしないが、ふいに物凄く虚しくなる。ジャニヲタだけをやり続けて3年、私の手元に残ったのは、大きな幸福感と少しの虚しさだった。
虚しさを自覚したのは最近だ。ジャニヲタってこんなに楽しいものなのーーー!!!という純粋な時期を抜けて、だんだんと小慣れた動作でATMに通えるようになったとき、虚しさを感じることが多くなった。
こんな生活がいつまで続くんだろう、いつまで続けていいんだろう、という漠然とした虚しさだ。
 
虚しさを自覚したとき、「彼氏を作ろう」と思った。
本音を言うと本気で彼氏が欲しいわけではなくて、現状をどうにかするには彼氏を作るのが一番手っ取り早いのではないかと思った。
恋愛の「好き」とアイドルに向ける「好き」は別物であるが、根本は同じ「好き」という感情である。ステージの上にしか向けていないこの大量の「好き」を少しでも分散させれば、ジャニヲタがこのまま加速し続け虚しくなることもなくなるのではないかと思ったわけだ。
 
そんなわけで今年の目標として、「行きたい現場にはなるべく全部行く」「V6のコンサートに行く」と掲げ、3つ目に「彼氏を作る」と宣言した。宣言したところで作れるもんじゃないので、合コンに行こうと思った。まずは出会わなければならない。頼るべきは友人のツテだ。
 
 
縁あって今年、3回の合コンに参加した。
 
1回目の相手は6つ年上の社会人だった。人生初めての合コン。気合いを入れて行った。リスクを考えてジャニヲタは隠そうと決めていたのだが、まぁ結論から言うとわざわざジャニヲタを公言するような場面にならなかった。隠すも何もない。連絡先を聞くことも聞かれることもなく、タダで飲み食いできて楽しかったー!というクズな感想を抱いて終わった。
 
2回目は同い年の大学生だったが、全員合コンに不慣れでいまいち盛り上がらなかった。これまたジャニヲタを公言するような場面にならず、誰とも連絡先を交換せず終わった。
 
そして3回目である。1つ年上の大学生だった。
ここで事件が起こった。幹事の友達の告げ口により、ジャニヲタなことは隠そうとする前にバレていたのだ。
一次会も早々に相手の幹事の男の子に「ジャニーズ好きなのってどの子?」と聞かれて危うく飲み物を噴き出しかけた。予期せぬ友達の裏切りである。
バレているものはしょうがないと腹をくくり、合コン開始30分でまぁまぁの熱量でジャニーズについて語った。V6の長野博さんが一番好きなことも、最近行ったライブはNEWSで、その前がKAT-TUN、その前がSMAP、その前がKinKi Kids、その前がTOKIOだということも話した。V6が一番好きだと言った瞬間、男性陣は全員口を揃えて「渋い〜〜〜!」と言った。V6 is SHIBUI. 太一くんと吾郎ちゃんと田口くんがいかに好きかも話した。
好きなタイプの話になったときは「さんたちゃんはジャニーズがいいんだもんね」という一言で片付けられかけたので、「ちょっと待て」と遮って、「ステージの上で歌って踊るジャニーズが好きなのであって、ジャニーズ顔の一般人には興味がないと熱弁をふるった。「本当にジャニーズが好きなんだね」と言われた。
ちなみに男性陣に人気だったジャニーズは、岡田准一長瀬智也松岡昌宏だった。わかる。
3回目にして合コンは思わぬ盛り上がりを見せた。私のジャニーズ話にずっとついてきてくれる男性が1人いたのだ。
「おれHey!Say!JUMPなら八乙女が一番好き!」「NEWSの曲好きだよ!チャンカパーナとかチリコスタリカの曲とかわかるもん!アルバム貸してほしい」と言われてそれはそれは盛り上がった。*1
 
3回目の合コンにおいてジャニヲタを公言したのは「正解だった」のだと思う。男性陣は、私が思っているほどジャニーズにもジャニヲタにもマイナスのイメージを抱いていなかった。今まで行ったコンサートをKAT-TUNからSMAPまで列挙した時点でだいぶアレなジャニヲタだとはバレているはずだが、誰も嫌な顔をしなかった。(と思う)なんなら仲間見つけた。
そして初めて合コンで連絡先を交換した。ジャニーズ話で盛り上がった人と、それを隣で聞いていた人だった。
どうしてそうなってくれたのか、横でただ話を聞いていた後者の人が私を気に入ってくれたようで、初めて男性から連絡先を聞かれた。ジャニーズ話で盛り上がった人には自分から聞いたが、その人とは結局いい友達関係が継続することになり、私は後日、私を気に入ってくれたらしい後者の彼と2人で会うことになったのだ。
 
謎だった。もはや不信感すら抱いた。彼はこんなジャニヲタの何を気に入ってくれたのか。たしかにその彼ともわりと話をして楽しかったのだが、話したのはよりによって好きなジャニーズの話だ。私が楽しかったのは当たり前であるが、延々ジャニーズの話を聞かされた彼が楽しかったのかは甚だ疑問だ。人生で初めて、何も努力をしていないのに好意を寄せられた。うちわを持たず手ぶら参戦したのにファンサを貰った気分だった。そんな経験ないけど。
 
モテない人種にはこの処理の仕方がわからず、緊張しまくった状態で2人でご飯を食べに出かけた。
彼はとても良い人だった。「話しやすかった」「話して面白かった」と言われた。
あの日、早々にジャニーズを解禁したおかげで私はいつもより饒舌になっていたらしい。初対面の人と話すのが苦手で愛想笑いで切り抜けようとしがちな私が、だいぶ自分から話しかけた。覚えている。男性陣のジャニーズへの食いつきが好感触だったので、調子に乗っていろいろ喋った。楽しかった。それを彼も楽しいと感じてくれたらしかった。なんてラッキーな。
 
もう本当に良い人だった。とても優しい人だった。ジャニーズ話で盛り上がった前者の人からも「あいつ超優しいよ。よかったな」というお墨付きをもらった。浮かれポーーーンチ!!!とスキップしたい気分だった。彼に向けた「好き」という感情はすぐに私のなかに芽生えた。
 
そんなわけで久しぶりにテレビの中以外で好きな人ができた。3年ぶりである。
最初に困ったのはLINEだ。LINEが主流になってから私は恋愛をしてきていない。コンサート時期予想や名義の割り振り、アリーナ構成確認などをオタク友達と行うツールだと思っていたLINEで、気になる異性に送るべき文面がわからない。悩み抜いた末に「そーなんだ!」「なるほど!」だけを返す日々だった。根気強く続けてくれる彼は本当に良い人だ。
好かれているとは思うけれど、こんなことではいつ飽きられてもおかしくない。そもそもなんであんなに良い人に好かれたのかわからない。友達に「中学生かよ」と突っ込まれながら、LINEの返信ひとつとってもギャーギャー大騒ぎしながら返した。にやける自分が気持ち悪くて彼から返信がくるたびに自分で自分の頬をビンタした。大学生の恋愛とは思えない。3年のブランク、まぁまぁでかい。
 
相手に嫌われたくないと思うのはとても久しぶりだった。
相手の様子を伺いながら好意を向けるということを長い間していなかったことに改めて気づいた、ジャニヲタ4年目の春である。
 
私はオタクは所詮「一人遊び」に過ぎないと思っている。これは私の持論だ。時々とても虚しくなるが、結局一番楽しいのってそんな一人遊びだったりするわけで、相手の気持ちを考えることなんてしない“一方通行の好意”の楽さがとたんに恋しくなった。
何の得にもならない情報を公開するが、私はもともと「好き」の熱量がでかすぎるタイプである。ジャニヲタになる前の恋愛なんてもう本当に面白エピソードばっかり持っているのだが、ジャニヲタに目覚めて、“一方通行”の「好き」の乱射がいかに自分向きで楽だったか知った。誰にも迷惑をかけずに「好き」と言い続けられる環境はとても自分に向いていたのだと改めて気づいた。
 
「今日は何か情報解禁になってないかな」とTwitterのオタクアカウントを開く回数が減って、彼のLINEを気にする回数が増えた。舞台を1回増やすなら、そのぶん彼に会いに行きたいと思った。
劇的心情の変化である。彼氏を作ろう作戦はこのままいくととてもうまくいくのではないかと思ったが、ふと新たな問題があることに気がついた。
 
 
これまで複数のアイドルに向けてきた大量の「好き」を今後は彼1人に向けることになるのかもしれないと気づいたとき、彼の心的負担を想像してぞっとした。死ぬ。たぶん、彼、死んじゃう。
 
「金と時間は簡単に増やせないけど、“好き”はいつでも増やせる」というポリシーでオタクをやり続けて4年、入会しているファンクラブは4グループになり、追いかけたい対象は30人以上になった。私の「好き」は限界が知れない。私は1人だけを好きになってはいけない人種ではないのか。
 
そうか。
ここでまた気づいたのである。
 
 
ーーだったらジャニヲタをやめなければいい
 
 
アイドルたちに向ける「好き」は継続したままで、彼をその同じ場所に並べたらいいのではないか。何もアイドルたちへの「好き」を全て彼に向けようと思わなくてもいい。
好きな対象が1人増えただけだと思えばいい。行きたい現場が1つ増えたと思えばいい。新しいファンクラブに入ったのだと思えばいい。
 
ジャニヲタをやめたくて彼氏を作ろうと思ったのに、最終的に落ち着いたのは「ジャニヲタをやめたら私は彼氏が作れない」という謎の結論だった。
 
彼とうまくいけばいいなと思う。そんな未来を期待する一方で、私はいったいどうやったらオタクをやめられるんだろうという永遠の絶望を手に入れた気分だ。そしてそれは絶望ではあるが大きな幸福でもあると知っているぶん、私はなおさらオタクをやめられない。
もはやなんのために彼氏を作りたかったのかよくわからなくなってきた。でも好きになってしまった。好きになったらもうどうしようもできないことは誰よりもよく知っている。そのせいで自分は今ジャニヲタなのである。
 
億万が一、お付き合いできることになったとしたら、私にはどうしても譲れないものがあることはお伝えしなければならない。お互いの休日や記念日やクリスマスに現場が被った場合、私は迷わず現場を優先するジャニヲタだということを彼は許してくれるだろうか。
 
 
私が彼なら私なんて絶対嫌だ。
 

*1:ちなみに「チリコスタリカの曲」の正式タイトルは「ONE -for the win-」である