井ノ原快彦著『アイドル武者修行』『アイドル武者修行2』を読んだ

 

アイドル武者修行

アイドル武者修行

 
アイドル武者修行2

アイドル武者修行2

 

 

 

やっと読めた。

もう本当にやっと読めた。(大の字で寝っ転がる)

 

井ノ原さんに興味を持ってから、彼が2002年6月号から2008年10月号まで日経エンタテインメント!で連載していたものが『アイドル武者修行』というタイトルで2冊の書籍になっていることを私は知りました。そしてずっと前から探していた。これは読まねばならない。謎の使命感。

私はアイドルが発する言葉のエネルギーに、ある意味とりつかれているようなところがあります。(自分でもわかっている)ファンの願いを叶えてくれるアイドルよりも、自分たちの考えや見せ方を提示するアイドルの方が好き。それを言葉にしてくれることが好き。コンサートも、彼らがこれからどのような方向に向かいたいのか、どのような見せ方をしていきたいのか、ファンをどんな世界に連れて行きたいのか、彼らの夢やビジョンが明確に見えることに何よりもぞくぞくします。それが私の見たいものかどうかはどうでもよくて、彼らがそこに立って、「これが僕たちがみんなに見せたい世界です」と遠く離れたステージの上で輝き続けてくれることに何よりも興奮する。

そんな嗜好(?)でアイドルファンをやっている私だからこそ、井ノ原さんが書いた文章にもとてつもなく興味を持ちました。アイドルが何を考えてアイドルでいるのか、彼がプロとして私たちの前に立ち続けてくれる意味を知りたかった。

だから探した。本屋に行った。なかった。ブックオフに行った。なかった。ネットで探してもなかなか見つからない。どこにもない。なぜだ。

 

残る場所はひとつだった。

 

 

というわけで、本日、重い腰を上げてやっとこさ図書館に行ってきましたー\(^o^)/

あったーーーよかったーーー\(^o^)/この2冊と同時に『イノなき』も借りたんですが、通常フロアの本棚には『アイドル武者修行2』しかなくて、書架請求で地下から持ってきてもらいました。この水色バックの井ノ原さんの顔面をバーーーンッ!と見せつけられて、図書館の受付のお姉さんに「こちらでよろしいですか?」と聞かれたときの、「いいよ!いいからもうちょっと隠して!!」感。すげぇ素敵だけど、すげぇ恥ずかしいこの表紙。

 

以下、ネタバレも含みますので、これから読むって人はお気をつけください!

 

 

 

 

「2005年3月12日、29歳目前で高校を卒業しました」という一文から始まるこの本。 

井ノ原さんの飾らない言葉がなによりも読みやすい。言いたいことがとても自然に伝わる。言葉の書き方だけで、国民にイノッチと呼ばれ慕われる彼の魅力がとてもよくわかるからすごい。

学校へ行こう!』の話、バラエティ番組の視聴率の話、『ピカ☆ンチ』の話、香港や韓国、台湾でのコンサート、アイドルとしてテレビに出ている立場、アイドルの恋愛事情、先輩と後輩、、、え!?!?ここまで書いていいの!?ってくらい、いろんな話が詰まっていました。テレビの裏側の事情も、芸能界の話も、嫌味なく素直な言葉で綴ってくれる。だから本当にすぐ読めた。そしてイノッチが大好きになりました。

 

年末年始は仕事が多忙なあまり10年ぐらい連続で決まって40度ぐらいの熱を出していた井ノ原さん。 

Jr.の頃、コンサート会場付近の駅で降りるといつも「いい席あるけど買わない?」とダフ屋に言い寄られ、「俺、出るのに…」と思いながらダフ屋を振り切って会場入りしていた井ノ原少年。

「僕のジャニーズ人生は悲しい青春の延長戦です」という井ノ原さんの芸能界の始まり。小学生のイノッチが劇団ひまわりに問い合わせていたことも初めて知った。「芸能界に入りたい」という気持ちをしっかり持って、彼はこの世界に入ってきたんだ、とここにきて思わされる。そして彼はもう27年も芸能界にいるんだ。

「お金を払って見にくるファンの子たちは、自分たちも楽しもうという方法を知ってるから盛り上がってくれる」という言葉は目からウロコでした。なるほど。私たちが普段、コンサートや舞台にせっせと足を運ぶのはそれが楽しいからに他ならないが、その楽しみと同等のお金をチケット代として支払っている。お金を払っているから、その分は楽しまなきゃもったいない、みたいな潜在意識はきっとある。ビュッフェに行く前は一食抜いて支払ったお金の元を取ろうとするのと同じかもしれない。(違うか)コンサートや舞台に行く前にわくわくするのは、すでに支払ったチケット代分の楽しみが待っているとわかっているからかもしれない。たとえ、1万円を払って観に行った舞台が実はそこまで面白くなかったとしても、私はどうにかして1万円の価値をその舞台に見出そうとする。1万円分楽しんだという感想をどうにかして文章にしたくなる。帰宅して感想をブログに書くまでが遠征だ、とよく思うのは、「私はこんなにいいものを見たんだよ」と周りの人に自慢できることもチケット代の中に含まれていると感じているからかもしれない。

「芸能界は生身の人間が商品」という文章もするっと読み飛ばしそうになりましたが、芸能界にいる人間である井ノ原さんの口からこの言葉が出てくることの破壊力に、読み返したときになって気づきました。井ノ原さんの言葉が素直で、限りなく読者(一般人)と価値観が近いために忘れてしまう。すげぇ普通に一般の人が書いた文章かと錯覚してしまう。これは芸能人が語る言葉なんだ、って読みながら何度か冒頭に戻る作業をした。

井ノ原少年が中学生だった頃に、TOKIO松岡さんとジャニーさんが運動会を見に来た、なんてエピソードもここで初めて知りました。なんだそれ!?!?!!!(目ん玉ひんむいた)松岡さんと遊ぶ約束をしていた日に運動会があることを思い出し、がっかりする松岡さんに「リレーのアンカーだからどうしても休めないんだ」と断ったら、当日松岡さんとジャニーさんが見に来ちゃったって話。最終コーナーを回ったあたりで社長の姿に気づいた井ノ原少年。アンカーというのは嘘で実は第3走者だった井ノ原少年。松岡さんから「お前アンカーじゃねぇじゃんかよー、バカヤロー!」という声援を受けて気分は最悪だった井ノ原少年。そんな世界が20数年前に存在してたってマジかよ、ジャニー。

Mステがある日の一日のスケジュールまで教えてくれる。舞台が重なってMステ出演当日も大阪公演があったときの井ノ原さんのスケジュール。最近で言えば、まさにKAT-TUNの田口くんがそんなスケジュールでMステ出演していたと思うんですが(In Factのとき)、うわーーこんなスケジュールで動くんだ・・・・って目が回りそうになりました。芸能人ってすごい。(感想文)

笑っていいとも!』へのお花の手配も個人でやること、出演情報は花屋さんから仕入れることも初めて知った。(イベントリストなるものが花屋にはあるらしい)コンサートのチケットも友達や親戚の分は自分で郵便局へ代金を支払って手配、その締切は一般よりかなり早いため、リハーサルで頭が回らない中、迫る申し込み期限のためにとりあえず当てずっぽうでチケットを押さえておくらしい。2003年のV6のツアーでは自分で何枚チケットを買ったかまで教えてくれる。マジか。

そして、今から10年前、90周年を迎えた宝塚を観に行ったという文章には個人的に勝手に運命を感じました。イノッチ!ねえ、イノッチ!私も100周年になって宝塚を初めて観に行ったんだよ!!!(クソどうでもいい共感)宝塚を初めて見た井ノ原さんの感想がこれまた素直で素敵な文章でグッときた。ヅカオタの人にはこの部分だけでもいいから読んでほしいって思うぐらい。

笑っていいとも!』と『はなまる』の舞台裏の話もとても丁寧にしてくれているんだけど、「長く愛されている番組」って言葉は今読むと少しさみしいね。今じゃ「長く愛されていた」って言わなきゃいけないから。テレビも変わっていくんだなぁ、と当たり前のことをしみじみ思ってしまった。 

ドラマ出演者との飲み会の話も、誰々が連絡係で僕は店の手配と地図係だったとか、そんな細かいところまで話してくれる。芸能人へのサインや写真、握手の求め方、テレビ局のセキュリティの話までしてくれるから、やっぱりここでも「イノッチそんなことまで言ってくれちゃって大丈夫!?」と思うけど、やっぱりすごく興味があるからすげぇスピードで読んじゃう。テレビ大好き、芸能界大好き人間にとって、この井ノ原さんの『アイドル武者修行』は本当にとてもおもしろかった。ものすごく遠かった芸能界が一気に隣の席ぐらいまできたぐらいの親近感。読み進めるほど、どんどん湧いてくる芸能界という世界への具体的なイメージ。これは井ノ原快彦にしか書けない文章だと心底思いました。最高かよ。最高だよ。

アイドル武者修行2』は、もっと個人的な井ノ原さんの仕事やプライベートの話や時事問題までもが話題に上り、もっと深い井ノ原さんの心理が垣間見えます。雑誌の取材、新曲のプロモーション、出演する舞台、、様々な場面で、彼が何を考えて仕事をしてきたのかがよくわかる。ああ、そんな視点もあったんだ、って井ノ原さんの視界から見る社会や芸能界がなんだかとても楽しい。2冊読み終わったあとには、なんだかすごく幸せな気持ちで満ち溢れました。井ノ原さんに対してというよりも、自分に対してだとか今生きている人生に対して、なんだかすごい私は今幸せなんだなと思った。イノッチのポジティブシンキング効果すげえ。マジすげえ。(小学生の感想)

カウントダウンコンサートの裏で井ノ原さんがひそかに考えていた悩み事も、すごい斬新というか、目からウロコというか、そうかそれもあるんだよね、と妙に納得してしまう。ジャニーズという肩書きがなかった井ノ原さんがバレンタインでもらったチョコは生涯で1個だって話も、そのもらった経緯も含めて笑えてしまう。笑っていいのかわからんが笑う。あー、楽しい。井ノ原さんの書く文章って本当に単純に楽しい。

時事問題で真面目な話をしたあとは、そのことに関係あるようでまったく関係ないお馬鹿話で落としてくれるから、それがさすがイノッチだなぁと思った。重く真面目なまま終わらない。最後は絶対軽くしてくれるから、やっぱりすごく読みやすい。さっきから読みやすいしか言ってないけど、いや本当に読みやすかった。

V6の話もそれほど多くはないけどまぁまぁ出てくるんだけど、メンバーの話は断トツで三宅のけんちゃんが多かった。井ノ原さんの語るけんくんはいつだってかわいいが1000%だから、やっぱりこの本で語られているけんくんも1000%かわいかったです。満足。

私たちが毎月お金を払って見ているJohnny‘s Webのことも、内側にいる井ノ原さんが語るとまた違って見えてくる。

 「植物は、元気なさげなものや育ちの悪そうなものを買うのが趣味」というのは、井ノ原ワールドすぎるわ!!と思いました(笑)それをいかに復活させるか、らしい。さすがイノッチ。なんかもうよくわからんが、さすがイノッチ。

学校へ行こう!MAX』でパイレーツのプロモーションで来日したオーランド・ブルームに天才エレクトーン少女が生演奏しておもてなしした回、今でもすげぇ覚えてるし記憶の中の映像だけで爆笑できるくらいおもしろかったけど、このとき井ノ原さんが思っていたことが「オーランドのパンツ」だったという衝撃よ。(ジーンズを腰履きしすぎていて半分以上パンツが見えていたらしい)マジかよ!!!!(笑)

坂本さんと長野さんが一時期事務所をやめたときのことについても言及しているんだが、この文章がまたすごい真っ直ぐでグッとくる。泣きそうになった。「たくさん悩んだ分、彼らは人の痛みが分かる頼れる兄貴です」なんてずるい。

 

10年以上も前だったり、6年も前に書かれた文章だったりするから、今と違うところもきっとあるとは思うんだけど、今読んでも、知らなかった事実がぽんぽん出てきてすごく楽しめました。

イノッチ大好きだ!!!(結論)

 

 

 

 

最後にすげぇ個人的な感想を言うと、『アイドル武者修行2』139ページに、学校へ行こうの楽屋で番組スタイリストの娘さん(4歳)に最後の収録の日にメッセージカードをもらうひろしくんのお写真が載っているのですが、そのひろしくんがあまりにもでろんとした笑顔でとてつもなく好きです!!!!最後の最後で井ノ原さんの話じゃなくてゴッメン!!

 

私におすすめされなくてもみんな読んでると思うけど、みんな機会があればぜひ読んでくれ!!!!