時給750円ほぼクレーム処理の激務飲食店だったけど、店長がイケメンだったから11ヶ月続けた

 

店長が異動するんだって~~~~~!!悲しい~~~~~!!!(´;ω;`)

 

 

 

味に定評のある全国チェーンのファーストフード店。私はそこで高校3年の2月から大学1年の12月までの11ヶ月間アルバイトをしていました。人生で初めてのアルバイト経験でした。

あまりの激務に堪えきれずに辞めたけど、私が引きずりこんだ大学の友達はまだそこでアルバイトを続けていて、私が辞めたあともよくその友達にお店の話や店長の話を聞いていました。激務すぎるがゆえにいろいろなことが起こるので、話(愚痴とも言う)の尽きない元アルバイト先でした。

 

で、昨日、久しぶりにそのお店に行ったんですよ。客として。

平日の昼間はパートのおばちゃんたちの固定シフトなので、知っている顔ぶればかりが働いていた。辞めてもう1年以上経つのに、顔を見てすぐに「あら!いらっしゃいませ~!」と声をかけてくれたレジのおばちゃん。最初に仕事を1から教えてくれた優しくて大好きだった主婦の方で、「お久しぶりです~」と挨拶をしながら私は商品を頼んだ。

その後ろに通った主婦の方も気づいて会釈してくれて、ふわふわした可愛らしい主婦の方もニコニコ笑って会釈してくれて、ああすごくいい人たちに恵まれていたんだな~と思いながら奥を覗くと、1人だけYシャツの色が違う男の人と目が合った。

「こんにちは!」と声をかけると、作業していた手を止めて、満面の笑みでぶんぶん手を振ってくれた。目が線になるくらい、もう本当に満面の笑みで、\(⌒▽⌒)/ワーーー!って。

それが店長です。29歳(たぶん)、男性、独身、高身長、彼女有。イケメン。爽やかなイケメン。例えるなら、俳優の中村俊介さんに似ている。

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中村俊介さんをもっとやつれさせて不健康にした感じが店長。

 

やっぱりイケメンだな!!!!と思いながら商品を待っていたら、また奥の店長と目が合った。笑いかけると、なんだか困ったような、切ない顔で微笑まれた。……え、何。

わざわざ店長が出来上がった商品を私の元まで持って来てくれた。それほど混んでいなかったとはいえ、昼間のピーク時間に店長がわざわざ出て来ることはほとんどない。

「友達から何か聞いた?」

聞いてない。友達からは最近何も聞いていなかった。

「また聞いて」と力なく微笑まれた。店長がこんなふうに笑うのは珍しい。何。何だ。ついにアレか。

 

 

 

 

 

………店潰れるのか。

と、わりと真剣に心配するワイ。

 

 

時は流れて今日、学校での出来事だ。友達から話を聞いた。

 

 

 

 

「店長、3月で異動になるらしいよ」

 

 

 

 

 

 

 

そっちかーーーーー!!!店潰れるんじゃなくてそっちかーーーーー!!!

 

 

というわけで冒頭の一文に戻ります。

店長異動するんだって~~~!!寂しい~~~~!!!(´;ω;`)

 

 

最初の面接のとき私はまだ高校生だった。

「店長」=「中年のおじさん」と勝手なイメージを抱いていた私にはカルチャーショックだった。想像していたよりもずっと若かったのだ。当時27歳だった店長は爽やかな笑顔が印象的な、まさに「イケメン」だった。面接落ちてもいい、こんなイケメンが見れたからもうそれだけでいい、と真顔で思ったほどに。

「店長とアルバイトっていう表面的な関係だけになりたくない。お金を稼ぐだけじゃなくて、人生の糧になるような経験をしてほしい。そのために俺は○○さんと働きたい」とクソイケメンな笑顔で言われた。

あの面接で私は一瞬で店長に恋をした。実際働きだしたら劣悪環境すぎてバイトの悪口止まんなかったし、何の糧になったやらって感じだったが。

…いや、いい経験にはなったな。もう二度としたくないけどね。

 

土日の激務で音信不通になる学生アルバイトのブッチ事件が立て続き、日に日にシフト人数が減り続け、こんな人数で土日の昼ピークがまわせるかよ!?!?とキレかけながらも、私は辞めなかった。

半年続けたあたりで学生バイトの中では最長歴になった。半年でもうベテランだ。頭おかしい。入っては即辞めていく学生バイトにただひたすら仕事を教えては、「なんか怒られたんスけど」と高校生バイトが押し付けてくるクレーム対応をして、「レジ操作がわかりません…」と泣きそうな顔でヘルプを求める新人を助け、「何言ってるか聞こえなくて」とドライブスルーで突っ立っている新人を助け、その合間で溜まりまくる業務をさばいていた。仕事を教えた2ヶ月後にはそいつは消え、また新しく入ってきた子に教えては2週間後に消えられた。

そんな環境で朝7時から15時まで、毎週土日は必ず2日間で計16時間バイトをしていた。なんでバイトのために休日に6時に起きなきゃいかんのか…と思いながらも、9時になったら「おはよう~」と出勤してくる店長が変わらず爽やかでイケメンだったので、なかなか辞められなかった。

夕方シフトの高校生が急にバイトに行けないと言い出し、その高校生からヘルプの電話がかかってきたとき、早朝から昼までもう8時間勤務を終えて帰宅していたが、べつに何も用事ないしいいかと思ってヘルプを引き受けたら、その直後に店長から電話がかかってきたことがある。「来なくていいから!○○さんに来てもらうくらいなら俺たち2人で頑張るから!!」と言われ、いや土日の夕方で2人は普通に考えて無理でしょと思い「大丈夫ですよ」と返したら「ほんとに~~?ありがとう~~(泣)もうなんでそんなにしてくれるの~~(泣)何でも言うこと聞いてあげる~~(泣)」と電話口で泣かれたこともあった。

さらに4ヶ月をこえたあたりでなんだか店に愛着が湧いてしまった。

常連さんに顔を覚えてもらったのも大きかったかもしれない。土日の早朝に食べに来る人は常連客が多く、ポテトは10時からだっつってんのにできないわけないだろカリカリにしてねケチャップもつけてねと注文の多い老夫婦にも対応できるようになったし、いつも1人で来て読書をして帰る無口なイケおじ(イケてるおじさん)は毎回ホットコーヒーを頼むのだが、10回目ぐらいで「今日はホットコーヒーじゃなくてアイスコーヒーなんですね」と声をかけたら、それからよく話しかけてくれるようになった。とっつきにくそうだと思っていたけど、喋ってみると笑った顔がかわいらしいおじさんだった。最後の方は私の大学のテストの出来まで心配してくれた。

楽しいことも確かにあったが、嫌なことのほうが圧倒的に多かったのも事実だ。忙しすぎて目眩がするなんてあのバイトでしか経験したことがないが、いかんせん初めてのバイト先だったので、働くとはこういうことなんだろうと思っていた。実際やっぱりちょっとおかしかったんだけど。いろんな飲食店を経験して改めてあの店のおかしさがわかったけど。

アップ作業のためにタオルを洗濯しに店裏に出たとき、休憩中の店長がダンボールに腰掛けてブラックコーヒー片手に煙草を吸っていたことがある。煙草を吸う人は本当に嫌いなんだけど、なんせイケメンなので様になる。店長が煙草を吸っているのを見るのが好きだった。

「なんで○○さんはそんなに良くしてくれるの」

消え入りそうな声で聞かれた。

「私このお店好きですよ」と返したら、「何が好き?」とさらに聞かれた。「人が好きです。○○さん(よく仕事を教えてくれたフリーター戦士)も好きだし、店長も好きです」と言ったら「ありがとう〜俺も好き〜~」と泣きそうな声で言われた。やっぱり私はこの店長のために辞めたくないと思った。イケメンに好きとか言われたら辞めたいもんも辞められん。

 

お客さんにブチぎれられて家まで謝りに行ったときも怖すぎてちびりそうだったんだけど、車の中で「ごめんね」「本当は俺で止めて君にこんなことさせないようにしなきゃいけないのに」「俺の力不足だよ。ごめんね」と謝られてさらに泣きそうになった。「迷惑かけてすみません」と謝ったら、「君の誠意が伝わったから、許してくれたんだよ」と頭をぽんぽんと撫でられた。

 

店長には一度も怒られなかった。午前中にメロンソーダを製氷機の中にぶちまけて、今日一日この氷使わなきゃいけなかったのに!?どうしよう!!!とパニックになったときも「とりあえず(メロンソーダが)かかってる氷全部出して」「いいよいいよ失敗で学べばいいんだよ」と笑ってくれた。

おばあちゃんに笑顔で接客したあとにスーーーッと寄ってきて、「今の笑顔めちゃくちゃよかった」とわざわざ口に出して褒めてくれるような店長だった。

ただ、私には一度も怒らなかったけど、キレてる店長は何度か見たことがあって、イケメンの真顔とガチギレほど怖いものはないので、あれはマジで心臓に悪かった。

 

ある日出勤したらすぐに店長が近寄ってきて「○○さん!聞いて聞いてー!店長、今日で100連勤(⌒▽⌒)☆」と笑った、想像を絶する社畜さも

「○○さん!見て見てー!店長今日から弁当男子!」と昼食の手作り弁当をドヤ顔で見せてきたときも、結局それが3日も続かなかったことも

棚の上の物が取れなかったとき、休憩中で仮眠をとっている店長を起こさないように気をつけてたのにいつの間にか店長が後ろに立っていて、「どれが取りたい?」とそのまま手伸ばして取ってくれて後ろからハグされたみたいになってズキューーン!!ってなったことも

私が10時からしか入れない日に店長が代わりに7時出勤になったので、申し訳ないなと思い事務所に缶コーヒーと置き手紙を置いておいたら、「何あれ!嬉しかった!ありがとう!!がんばる!!!」とウキウキされたことも

久しぶりのオフ日にも店に売上を確認しに来た店長の、最初で最後に見た私服がカーキ色でフードにモコモコがついてるコートと細身のジーンズっていうどこの爽やかな大学生だよという服装でキュンキュンしたことも

恋愛話が好きで、入ってくる学生バイトには必ず恋人の有無を聞いては、最終的に「店長、彼女のこと大好きなんだー♡」とのろける鬱陶しさも

「今の彼女さんと結婚しないんですか?」と聞いたら「俺、若く見えるってよく言われるんだけど、年相応になりたくて。まだまだだよ」と急にマジな返答をしてきた店長も

「○○さん(私)に悪い虫がつかないか心配なんだよー」「変な男に引っかかったら言ってね」「俺が殴りに行くから」とよくわからん父性を溢れさせた店長も

もう無理です辞めさせてくださいって言ったときもすごい寂しそうに「なんで?」って言われて、「私このお店好きなんですけど…」って言ったら「俺も○○さん大好きだよ」って食い気味で言われてうわぁあああん辞めらんねぇええええってなったことも

最後の日に「ありがとうーー!!」と満面の笑みでハイタッチしたことも

私が辞めてから友達によく「○○さん(私)元気?」「寂しいな~」と言っていたらしいことも

辞めてからお店行って「店長お久しぶりです~」って声掛けたらいつもぶんぶん両手振って満面の笑みで名前呼んでくれたのも

 

ほんとに環境はクソだったし時給750円の仕事量じゃなかったけど、「仕事好きだから」「みんな好きだから」って笑う店長が好きだった。

 

 

もうお店行っても会えなくなるなんて寂しい~~~!!寂しすぎる~~~~!!店長~~~!!(´;ω;`)